2006年05月26日

数学者の情緒志向 (著作「国家の品格」より)

課長に勧められた本藤原正彦著「国家の品格」を読んだ。

言われるとおり確かに良かった。


前半、西欧の論理の哲学?に疑問を呈する、ところから始る。

資本主義とは、本当にみんなが幸せになれる方法なのか?・・・NO
ここでは、資本主義の土台の哲学として、古典派経済学(個々人が利益を追求することは、神の見えざる手によって、社会全般が豊になるのだ、とする学)、ロックの思想、予定調和説・・・等々が上げられる。


論理というものは、必要だ。それは理性・・・正しく判断するためにも・・・
しかし、論理だけではダメなのだ。最初の出発点とどう取るかで、論理の展開は全く変わってくる。
何が必要か?・・・それは情緒・・・優しい情緒なのだ。


そして、日本人は昔から情緒豊かな民族だったのだ。
アメリカの占領政策とその残像の教育のお陰?で、日本人は、その情緒を失ってきている。
そこを換えていかなければならない。


国家の品格.jpg

(感想)

ホッブズとロック
社会契約説でよく知られた名だ。
私はホッブズの説は、ナルホド確かに!と最初に習ったときから納得したが、ロックの方はどうもよく分らない。小室直樹や副島隆彦の著作では分かりやすく書かれていたが・・・そのときは分った気がしたが、時間が経つと分らなくなってしまう。

私の理解が、中途半端なのだろうけど・・いつもすっきりしなかった。この著作では、その辺のもやもやしたところを、活字にされて、すっきりできた。ロックはやっぱり日本人の感覚とは相容れないところが多いのだろう・・・


予定調和説・・・
キリスト教プロテスタントは、予定調和説だ。これは、良いことをしたから天国、悪いことをしたら地獄へ行くのではなくて、生まれたときからあらかじめ決まっている、とする説だ。・・・これは仏教の因果応報とは全く異質である。・・・日本人はこの予定調和説にほとんど反発を感じるであろう。(その辺も書かれていた)

ただ、この予定調和説を進行したプロテスタント:カルバン派が資本主義を作った。・・・とされるのが一般の説である。(マックスウェーバー):この事情を書くと長くなるので、ここでは書けない(学説を写すだけになるし・・・)

情緒
著者は数学者だ。(前半を読んでいる感じでは外交官か国際政治学かと思っていた)
数学には、計算能力や知能は必要だ。しかし、それ以上に情緒が必要だ。・・・と
また、論理(数学は論理の塊)より情緒を大切に思い、主張する・・そう言うところが数学者のイメージと離れたところではあるが、言われるところに同感であった。


英語を早期に始めるより、国語の徹底を・・・
これもそうだと・・(私が英語を苦手としていると言う側面もあるが・・・)
言葉・・思考の上でこれは土台となるものだ。
「日本人とは日本語でものを考える人間のことだ」と定義した、学者もいた(鷲田古谷田)
国語を徹底して思考力を付ける。英語はそれからでも遅くはない。・・・


等々、社会学?のちょっと難しめの内容も入るが、そこを読みやすく、そして、何より感覚的に同感できる。・・愛祖心あふれる著者の想いが伝わってくる。

この本が多くの書店で売り上げNO.1になっているのがなぜかうれしかった。
posted by しくむ at 00:13| 埼玉 ☔| Comment(4) | TrackBack(2) | 心のつぶやきに言葉を(著作・映画編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近最も共感した本です。数学者なのに論理より情緒と言っているところに惹かれて読みました。著者の考えすべてに納得できましたが、時と場合によっては論理が優先されることもあるように思います。法を扱う場合などです。また英語より国語というところにも同感です。思うに国語力なくして英語力はないのです。最終的にはどちらも読解力によるところが大きいように思われます。
Posted by mint at 2006年05月26日 01:20
書き込みありがとうございます。

同じ本に共感できて、(^-^)。

法を扱う場合・・そうですよね。これは論理的に行かなければ・・・
悪いことをしているのに・・イメージがいいから・・不問に付す・・とか、
逆に悪いヤツだから・・証拠不十分でも起訴してしまう(田中角栄や鈴木宗男はこれに当たる)・・と・・・これはまずいと思ったりします。
Posted by しくむ at 2006年05月26日 06:35
わたしも買いました。
でもまだ読んでません。
お勧めのようですのでぜひ一読したいと思います。
Posted by at 2006年05月26日 23:16
是非読んでみてください。
読み始めると2時間弱で読めると思います。
堅い内容だけど、読みやすいですよ。
Posted by しくむ at 2006年05月26日 23:44
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国家の品格
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