2012年08月19日

原作&元本「絵と物語で紡いだ12年(模擬披露宴レポート2)」

前回記事「絵と物語で紡いだ12年(模擬披露宴レポート)」
の設定となった原作(小説形式)と、それを元にした「絵本」を掲載します。

ほのぼのと伝わってくるものがあったので紹介させて頂きます。
式次第表紙.bmp

【原作】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新郎と新婦の出会いは、中学校二年の時であった。
その年から入部した絵本部で偶然知り合った。
新郎は文章を、新婦は絵を担当し、それをもう一人の部員である親友が朗読した。
それぞれ自分達が元々好きな分野を担当し、それぞれが活き活きと活動した。

そして、それを通して新婦は新郎に対し淡い感情を抱き始めた。
対する新郎は自分が同様の気持ちでいることに鈍感で気づくことがなかった。
その様子を担任であり絵本部の顧問であった先生は暖かい目で見守っていた。

だが、そんな日常は唐突に終わりを告げる。
中学三年になったばかりの頃、新郎が親の都合で転校することになったからだ。
その衝撃は絵本部三人の活動に支障をきたすほどであった。

いつもであったらすぐに話を書きあげる新郎も、話が出来あがったのは引っ越す前日であった。
「ゴメン」新郎はそれしか言えなかった。
それに対し新婦も親友も何も言い返すことが出来なかった。

迎えた引っ越し当日。
全ての荷物を積み込み、新郎がトラックに乗り込もうとした時であった。
新郎の視界に見えたのは、「待って」と叫びながら駆けてくる新婦の姿であった。
それを見て驚いている新郎に対し、新婦は目の前まで駆け寄ると手に持っていたものを差し出した。

それは、完成したばかりの絵本であった。
前日に出来あがった話を、僅か1日で絵を入れて完成させたのだ。
絵本を開いてみると、いつもと変わらない丁寧な新婦の絵が確かに描きこまれていた。
新郎はそれを見て、言えなかった一言を新婦に伝えた。

「また・・・会おうな」
新婦はそれに対して力強く頷き、答えた。
これが、二人の中学時代の別れであった。



大阪に転校した新郎は、毎日が戸惑いの連続であった。
慣れない大阪弁にその風習、お好み焼きにご飯が一緒に出てきた時の衝撃は計り知れなかった。
また、父親が普段仕事で中々家に帰れず、母親を既に亡くしていた新郎は伯母に預けられることになる。

しかし、今までそんなに会ったことのない伯母に上手く打ち解けられずにいた。
伯母も新郎に優しく接したが、それと同時に心配もしていた。
ある日、そんな新郎が部屋の掃除をしていると、引っ越す直前に新婦が渡してくれた絵本を見つけた。

それは、自分が書いた「キキウサとシャベ猫」という話であった。
聞くのは上手いけど上手く話せないウサギと、話すのは得意だけど聞くのは苦手な猫。
新婦が描いたキャラクターを元に、新郎が話を作った。
その話を新婦の絵が綺麗にまとめ上げていた。

自分で作った話なのに、その絵からこみ上げる元気のようなものを新郎はもらった。
これを機に、次第に伯母とも打ち解けられ、大阪の雰囲気にも慣れていった。
それからは近所の高校に進み、楽しい学生生活を過ごした。
また、母親がいない新郎にとって伯母の存在はまさにその穴を埋めているといっても過言ではなくなっていた。

そして高校卒業後、新郎は東京の玉川大学に進学することになる。
親元を離れての一人暮らし、伯母も寂しさがあったものの笑顔で送った。

新郎が東京に着き、まず最初にやろうとしたのはあの絵本部で一緒であった新婦と親友との再会であった。
まず親友とは今でも変わらない場所に住んでいたためすぐに再会を果たすことが出来た。
再会を喜ぶ二人であったが、新婦についてはその親友でさえも今どうしているのか分からずにいた。

新婦は引っ越したとのことで、住所はもちろん電話番号でさえも知らずにいた。
「また会いたい」その気持ちを募らせることしか新郎には出来なかった。

新郎が転校した後、新婦は一時期は落ち込んだものの、時間がそれを解決していった。
そして地元の高校に入学し、普通に学校生活を送った。
その間にも変わらず絵を描き続けていた。

転機が訪れたのは、卒業後の進路を決めることになった時である。
ずっと絵を描くことに関わっていきたいと思っていた新婦は美大に進学したいと言い出したからだ。
父親は「好きなことをやりなさい」と賛成したが、母親はそうではなかった。
そういうのは趣味にして、自分と同じように看護や薬剤系に進むよう勧めた。

しかし、新婦の意思は固かった。
しばらく新婦と母親の間でせめぎ合いが続いた。
その疲れを、同級生の友人に漏らしてしまう場面もあった。
それを聞いた友人からの励ましが、新婦の意思を更に固めた。

結局、新婦は多摩美術大学に合格し、自分の夢を叶える一歩を踏み出そうとしていた。
そんな新婦に悲劇が襲う。
この道を進むことに賛成してくれていた父親が急死したのだ。
突然の訃報に、新婦に来た衝撃は計り知れないものであった。

そして、今まで住んでいた家は手放し、母親は実家に、新婦は大学に通うため一人暮らしを始めることにした。そこで新婦を待っていたのは、現実の大変さである。
初めての慣れない一人暮らしに加え、大学では課題に追われ、そして仕送りも多くないため自分でバイトをしなくてはならない。
精神的にも体力的にも、徐々にすり減っていった。

そんな中での新郎新婦の再会はまさに奇跡的であった。
それはキャラクター雑貨店のバイトであった。
たまたま新婦がバイトしていたお店に新郎が新しく入ってきたのだ。

お互い一目見た時から「まさか」と思いはしたが、すぐに確信は出来なかった。
確信できたのはお互いの名前を聞いた時。
あの引っ越し寸前に絵本を渡してから、実に4年ぶりの再会であった。
その夜、二人はバイト後に近くのファーストフード店でお互いの話をした。
お互いのその後から今に至るまで、話したいことは山ほどあった。

その様子は、まるで4年間で出来た隙間を埋めていくようであった。
新郎は久々の再会に喜ぶだけであったが、新婦は最近の精神的な疲労が一気に癒されていた。
このことがきっかけで、二人は一気に距離を縮めることになった。

バイト中でも、二人の交わす会話は周りからは微笑ましく見えた。
そして、そんな姿を見て二人の上司である店長はあることに気付いた。
新婦は好意を持って接しているのに対し、新郎は自分もそうであることに気付いていないことを。
中学時代からの新郎の鈍感さはその時までずっと続いていた。

それを見て、店長は新郎をバイト後に「飯を奢る」などと言って誘った。
「お前、新婦のことが好きなんじゃないのか?」
店長の唐突な言葉に、新郎はただ驚くしかなかった。
自分自身考えたこともなかった感情に、言われて初めて気づいたからだ。

「一歩踏み出してみろよ」
その言葉が後押しし、新郎は新婦に告白、交際がスタートした。
こうして付き合い始めた二人は、順調に交際を続けた。
お互いに学業がある身でありながらも、バイトも授業もない日は一緒に過ごした。

大学3年になり新郎は部活動の部長に、新婦は更に学業の課題などに追われ、お互い忙しい日々を送った。
しかし、それがたまに会う二人の時間をより確かなものにした。
そして大学卒業後、新郎はプログラマ、新婦はデザイナーとして就職を果たした。
お互い社会人となり忙しい日々を送ったが、休みの日にはちゃんと会ったりと、交際は順調であった。

プロポーズは大学を卒業してから4年後、今年開業したばかりの東京スカイツリーであった。
かつてのバイト先の新しい系列店がそこに出来、それにあの店長が関わっていると聞いて一緒に訪れた。
店長こそいなかったものの、お互い付き合い始めた頃の思い出が蘇りつつあった。

そして、スカイツリーから見える夜景を見ながら新郎は静かに伝えた。
「結婚しよう」
驚く新婦に、新郎は指輪を出した。
「・・・これからもよろしくね」

それが新婦からの返事の言葉であった。
こうして、二人は永遠を誓った――――――。

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絵本
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posted by しくむ at 23:47| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 心に残るスピーチ(教室編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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